「転職活動中は収入が途切れてしまう…」そんな不安を抱えている美容師免許保持者の方は、決して少なくありません。特に現場を離れていたブランク期間がある方にとって、復職に向けた転職活動は心理的にも経済的にも大きな負担になりがちです。
しかし実は、一定の条件を満たせば転職活動中に給付金を受け取れる制度が複数存在します。国が運営する公的な制度ですので、条件さえ合えばしっかり活用すべきものです。この記事では、美容師免許を持つ方が転職活動中に利用できる給付金制度を、わかりやすく丁寧に解説していきます。
転職活動中に給付金がもらえる制度は大きく3つある
美容師免許を持ちながら転職を検討している方が利用できる主な給付金制度は、大きく分けると「雇用保険(失業給付)」「教育訓練給付金」「職業訓練受講給付金(求職者支援制度)」の3つです。それぞれ対象者や条件が異なるため、自分がどれに当てはまるかを確認することが大切です。
以下に、3つの制度の概要をまとめます。
雇用保険(失業給付)
- 雇用保険加入者が対象
- 離職前の賃金をもとに給付額を算定
- 求職活動の実績が必要
教育訓練給付金
- 雇用保険加入歴が1〜3年以上必要
- 厚労省指定講座の受講費用を一部補助
- 最大で受講費用の70%が給付される
3つ目の「職業訓練受講給付金(求職者支援制度)」は、雇用保険を受給できない方向けの制度です。フリーランスや自営業に近い形で働いていた方、雇用保険の加入期間が短い方などが対象になります。月10万円の生活支援給付金が支給される可能性がありますので、「どの制度も使えないかも」と諦めないでください。
ポイント
「雇用保険に入っていなかったから給付金は無理…」と思い込んでいる方も多いですが、雇用保険未加入・受給資格なしの方でも利用できる「求職者支援制度」があります。まずはハローワークに相談してみることが第一歩です。
雇用保険の失業給付:美容師の転職でも受け取れる条件とは
最もよく知られているのが、雇用保険から支給される「基本手当(いわゆる失業給付)」です。サロンを退職した後、次の仕事を探している期間中に受け取ることができます。美容師として雇用されていた方であれば、多くの場合この制度の対象となります。
受給するための主な条件
- 離職前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること
- ハローワークに求職の申し込みをし、積極的に就職活動をしていること
- 就職できる状態(健康・環境面)にあること
自己都合による退職の場合は、申請から原則2か月(2020年10月以降の改正により、正当な理由のない自己都合退職は2か月)の給付制限期間が設けられています。一方、会社都合(解雇・雇い止めなど)の場合は待機期間(7日間)経過後すぐに受給できます。
受給額の目安
基本手当の日額は、離職前6か月間の賃金日額の50〜80%が目安です。賃金が低いほど給付率が高くなる仕組みになっています。美容師の平均的な賃金水準を考えると、1日あたり4,000〜6,000円程度になるケースが多いようです(あくまで目安であり、個人の状況により異なります)。
受給日数は被保険者期間や年齢によって変わります。転職活動にどれくらいの時間をかけられるかを事前に把握しておくと、余裕を持った活動ができます。
教育訓練給付金:スキルアップしながら給付を受け取る方法
美容師として現場に復帰するにあたり、「ブランクがあるので技術を学び直したい」と感じている方も多いのではないでしょうか。そういった方にぴったりなのが「教育訓練給付金」です。厚生労働大臣が指定した講座を受講すると、費用の一部が給付されます。
3種類の給付レベル
教育訓練給付金には「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3つのレベルがあります。美容師免許を持つ方が関係しそうなものとして、ネイル・エステ・ヘアケア関連の資格講座が指定されているケースもあります。
- 一般教育訓練給付金:受講費用の20%(上限10万円)が給付
- 特定一般教育訓練給付金:受講費用の40%(上限20万円)が給付
- 専門実践教育訓練給付金:受講費用の50〜70%(最大168万円)が給付
受給するための主な条件
一般・特定一般は雇用保険加入期間が通算1年以上(初めての場合)、専門実践は3年以上(初めての場合)が必要です。在職中でも受給できるため、転職準備として活用することも可能です。
注意したいこと
教育訓練給付金は、受講前に「訓練前キャリアコンサルティング」をハローワークで受ける必要があります。また、受講する講座が厚生労働大臣の指定を受けているかどうかを、必ず事前に確認してください。指定のない講座では給付を受けられません。
求職者支援制度:雇用保険がない方でも月10万円を受け取れる可能性がある
「以前はフリーランス的な働き方をしていた」「雇用保険に加入していなかった期間が長い」という方には、「求職者支援制度」が有力な選択肢になります。この制度では、ハローワークが指定する職業訓練(ハロートレーニング)を受講しながら、月10万円の「職業訓練受講給付金」を受け取れる可能性があります。
受給するための主な条件
- 雇用保険の受給資格がない(または受給が終了した)こと
- 本人収入が月8万円以下であること
- 世帯全体の収入が月30万円以下であること
- 訓練期間中・訓練終了後も求職活動を行うこと
収入や世帯状況による要件があるため、全員が受給できるわけではありませんが、要件を満たせば非常に心強い制度です。また、訓練内容によってはビジネスマナーやITスキルなど、復職後に役立つ知識を無料で学べるコースもあります。
給付金に加えて、交通費に相当する「通所手当」や、必要に応じて「寄宿手当」が支給される場合もあります。経済的な負担をできる限り抑えながらスキルアップできるのが、この制度の大きな魅力です。
給付金を受け取りながら転職活動を進めるための手順
制度の存在を知っていても、「実際にどう手続きするの?」と悩む方が多いのも事実です。ここでは、給付金の申請から転職活動をスムーズに進めるまでの流れを、ステップ形式でご紹介します。
給付金申請から転職活動完了までの流れ
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ハローワークで状況を相談する
まず最寄りのハローワークを訪れ、自分がどの給付制度を利用できるか相談しましょう。離職票・雇用保険被保険者証・マイナンバーカード(または通知カード)・本人確認書類・写真などを持参すると手続きがスムーズです。
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受給資格の確認と申請手続き
担当者との相談をもとに、雇用保険の失業給付・教育訓練給付金・求職者支援制度のいずれかの申請を行います。受給資格決定後、受給説明会への参加が必要な場合もあります。
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求職活動の実績を積みながら転職先を探す
失業給付を受ける場合、原則として4週間に2回以上の求職活動実績が必要です。求人への応募・セミナー参加・面接などが実績として認められます。美容師向けの求人サイトや転職情報を活用して、希望条件に合うサロンを探しましょう。
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就職が決まったら速やかにハローワークへ報告
就職が決定したら、ハローワークへの報告が必要です。就職日の前日までに「就職・就労の届出」を行います。早期就職の場合、「再就職手当」が受け取れる場合もありますので、担当者に確認してみましょう。
再就職手当についても忘れずに確認しよう
雇用保険の失業給付を受給中に早期に就職が決まった場合、残っている給付日数に応じて「再就職手当」が支給される場合があります。支給額は、残日数が3分の2以上の場合は残額の70%、3分の1以上の場合は60%が目安です(条件により異なります)。早く転職先が見つかるほど、まとまった給付金を受け取れる可能性があるため、転職活動はできるだけ積極的に進めることをおすすめします。
給付金を活用する際によくある疑問と注意点
実際に手続きを進めようとすると、さまざまな疑問や不安が出てくるものです。ここでは特によく聞かれる疑問にお答えします。
出産・育児で5年ほど美容師の仕事を離れていました。復職を決意して転職活動を始めたものの、ブランクへの不安もあり、なかなか一歩を踏み出せずにいました。ハローワークに相談したところ、求職者支援制度を紹介してもらい、給付を受けながらヘアケアの講習を受けることができました。経済的な余裕ができたことで、焦らずに自分に合ったサロンを探す時間が取れました。
30代・ブランク5年
給付金受給中に確認しておきたいこと
手続き前のチェックリスト
- 離職票・雇用保険被保険者証を会社から受け取っているか
- 離職から1年以内に申請できるスケジュールになっているか
- 求職活動実績の記録(応募履歴など)をまとめているか
- 受講予定の講座が給付金対象の指定講座かどうか確認したか
- アルバイト・副業を行う場合はハローワークに申告する準備ができているか
給付金の申請や手続きに不安を感じたら、ハローワークの窓口スタッフに相談するのが一番です。「自分の場合はどうなの?」という個別の疑問にも、丁寧に対応してもらえます。制度を正しく活用して、焦りのない転職活動を実現しましょう。
美容師として現場に戻るための転職活動は、決して一人で抱え込む必要はありません。給付金という経済的な支えを活用しながら、自分のペースで理想のサロンを探してみてください。ブランクがある方の復職を応援する求人情報は、「美容師免許ワーク」でも多数掲載していますので、ぜひ求人検索からご自身に合った職場を探してみてください。